小人たちのやふぅオークション




さて。

小人たちと氷の国の氷河は、数々の苦難と多忙と不釣合いにもめげず――むしろ、だからこそ――、日々、愛を深めておりました。


ところで、皆さんは、人が生きていくのに必要なものが何だか知っていますか?
もちろん、知っていますよね。

人の心を生かすのは愛。
人の身体を生かすのはおやつ。

そして、おやつを手に入れるには、お金が必要です。


氷の国の氷河は小人たちの愛だけ食べて生きているので(時々、ご飯と梅干も食べますけど)、そこいらへんはあまりわかっていませんでしたが、9号は、ちゃんとわかっていました。
何といっても、氷の国の大蔵大臣ですからね。


氷の国には、愛はたくさんありましたが、お金はあまりありませんでした。
なので、大蔵大臣9号は、そろそろ国庫にお金をためなければならないと考えていました。

今回、9号が考えついた外貨獲得方法は、ハンマーコンサートで叩き続けたピアノの鍵盤をオークションに売りに出す――というものでした。
それも、限られたお金持ちだけが参加できる普通のオークションではなく、世界中の人たちが参加できるネットオークション。
9号ちゃんが白羽の矢を立てたのは、世界最大規模を誇るやふぅオークションでした。

もちろん、やふぅオークションでの収益金は、おやつ代だけでなく、国家予算として氷の国の環境整備にも当てるのです。

9号は、やる気満々、俄然張り切りだしました!