――と、心配しているうちに、恐怖のオークション開催期間9日間は、あっという間に過ぎていきました。

氷の国の氷河は器用貧乏でしたから、めきめきとパソコンの腕を上げていきました。
文字入力の速度は日を追うごとに増し、オークション終了日には、キーボード使いの最終奥義ブラインドタッチをもマスターしていたのです!

それは、もしかしたら、生命の危機を感じた氷の国の氷河の生存本能が、身体機能へ無意識に働きかけ、驚異的な能力を発揮したせいだったかもしれません。
もし、ここで自分が死んでしまったら、小人たちのぱんつを縫える人間はこの世に存在しなくなるのだという思いが、氷の国の氷河に愛の奇跡を起こさせたのだったかもしれません。


ともあれ、喧々囂々・丁々発止のやりとりの末、小人たちの出品した鍵盤を競り落としたのは、日本在住の、『オークションID:atenasaori_ojyo(新規)』さんでした。

落札価格は鍵盤全部トータルで、2億3千万円です。

このatenasaori_ojyoは潤沢な資金を持っていると思われ、最終日に彗星のように現れたかと思うと、とんでもない金額を入札し、小人たちの出品物を軒並みかっさらっていったのです。



はたして、このatenasaori_ojyoとは何者なのか。

そして、小人たちは無事に国家予算を手に入れることができるのでしょうかー !!??