「氷河! 校正に出すまで、あと10日もないんだよ! なのに、なんで氷河の原稿は白紙ばっかりなの !? 昨日は一体何してたの !? 」 「何してた……って、昨日は、お前たちの朝ご飯のあと、秋用の服を縫って、それから、6号が木の枝に引っ掛けて破ったパンツの繕いをしたな。そのあと、昼ご飯とおやつを済ませて、お前たちが昼寝をしている間に掃除してたら、3号が起きだしてきて、寝つけないから遊んでくれって言うもんで遊んでやってたら、みんな起きだしてきて、おかげで掃除が後回しになって、そうこうしてるうちに夕飯の支度をしないといけなくなって、そのあとはお風呂だろ。で、それからまた……」 「話はもういいよ。とにかく急いで! こういうのは、時間が経つと話題性がなくなっちゃうから、とにかく急いで! 僕はこれから『小人さんたちのおやつライフ』の写真撮りで、たれたれ瞬ちゃんのケーキを食べないといけないから。氷河も頑張ってよね!」 「あ……ああ……」 「うん、じゃあね。あ〜〜っ、先に食べるなんてずるいよ、みんなーっっ!」 氷の国の氷河にハッパをかけると、9号は、『氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』のグラビア用写真の撮影のために、たれたれ瞬ちゃんのケーキの許に飛んでいってしまいました。 あとに一人残された氷の国の氷河は、とてもとても重大な秘密の独り言を、ぽつり。 「まいったなぁ……。俺、文才ないんだが……」 そうなのです。 実はそうだったのです。 『氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』テキスト原稿締め切りまで、あと2日。 果たして、氷の国の氷河は、家事の合間を縫って、無事に原稿をあげることができるのでしょうか !? |