「9号、どうするの……?」

どんなにハッパをかけても、氷の国の氷河に原稿を書かせることは無理そうでした。
けれど、『氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』は、氷の国の氷河の手記部分以外の編集は、いたって順調に進行しているのです。
今更、発行中止なんてできるはずもありません。

5分間ほど考え込んだ9号が思いついた現状打開策は、
「よし、ゴーストライターに頼もう!」
――というものでした。



そういうわけで、小人たちは、氷瞬城の夜の廊下で叫ぶことになったのです。

「生霊さーん !! 」× 15

小人たちに呼ばれると、生霊さんはすぐに姿を現してくれました。
「呼んだかな、可愛子ちゃんたち」

「わーい、生霊さんだーvv」× 14

相変わらずせくしーな生霊さんに、小人たちは色めき立ちました。
9号もちょっと心が揺れ動きましたが、今はそれどころではありません。
9号は、きりっ☆ とした目で、生霊さんを見上げました。

「浮かれてる暇はないよ、みんな。生霊さん、あなたを生霊と見込んでお願いがあるの」

「ああ、知ってるよ。裁判の手記のことだね」
「うん、そうなの!」
「生霊さんなら書けるよね〜vv」× 14

どうやら生霊さんは、そこいらへんの事情は心得ているようでした。
小人たちは、期待に満ち満ちて、せくしーな生霊さんをうっとりと見詰めました。


ところが――。

「うーん、ごめんね、可愛子ちゃんたち。俺はね、どうこう言って、あのバカ氷河の分身だから、やっぱり文才はないんだよ」
「え……。こんなにせくしーなのに、文才ないの?」
「うん、そうなんだ。ごめんね。俺にあるのは、君たちを口説くことと、合体した君たちをいい気持ちにさせてあげる才能だけなんだよ。ぱんつも縫えないしね」

「そうなの〜……」× 15
生霊さんはとてもせくしーでカッコいいので、何でもできるに違いないと思っていただけに、生霊さんの答えを聞いた小人たちは超がっかりです。

けれど、生霊さんに、
「ごめんね、可愛子ちゃんたち」
と、せくしーにウインクされて、小人たちはすっかり良い気分。

「は〜いv」× 15

がっかりしながらも、うっとり&ぽ〜っ☆ として、小人たちは生霊さんに、さよならを言ったのでした。