たれたれ瞬ちゃんのさくらんぼタルトは、この世のものとも思えないくらいにおいしいものでした。 たれたれ瞬ちゃんのさくらんぼタルトにすっかり味をしめた小人たちは、ある日、氷の国の氷瞬城のダイニングテーブルで、臨時国会を開催したのです。 「ねぇ、今度はプラムのタルトが食べたいね」 「うん、食べたいね」 「僕が今、何を考えてるかわかる?」 「もちろんさ! 僕たちの心はいつも一つだもの!」 「よし、行こう!」 「おーっっ !! 」× 15 小人たちは、そういうわけで、ぞろぞろと赤い実がたわわに実っているプラムの木の下に行って、そこに15人ずらりと並び、指をくわえてプラムの実を見上げました。 首が痛くなるのを我慢して、小人たちが1時間もそうしていると、通りすがりのハトさんがやって来て、小人たちに尋ねてくれたのです。 「もしもし、そこの可愛い小人さんたち。何かお困りですか?」 「あっ、ハトさんだ」 「あのね、あのね、僕たち、あそこになってるプラムの実が食べたいの」 「でも、木に登れないし」 「毛虫は怖いし」 「食べたくても食べられないの」 「なるほど。そういうことなら、私に任せてください。ちょいとつついて、実を落としてあげましょう」 「わ〜い、ハトさん、ありがとう!」× 15 ハトさんは次々にプラムの実を落としてくれました。 実は次々と小人たちの頭上に降ってきました。 プラムの実は、さくらんぼの5、6倍の大きさがあります。 加速がついたプラムの実は、小さな小人たちめがけて勢いよくぼとんぼとんと落ちてきました。 プラム爆弾の威力は、さくらんぼ爆弾の10倍もすさまじいものでした。 小人たちは、さくらんぼ爆弾の時の20倍も恐い思いをして、必死になって逃げ回りました。 「ごめんね、小人さんたち」 逃げまどって、ぜいはあ息を切らしながら地面にへたりこんでしまった小人たちを見て、親切なハトさんは、申し訳なさそうな顔をしてどこかに飛んでいってしまいました。 けれど、もちろん、すぐにまた、お菓子作りの好きなたれたれ瞬ちゃんがそこを通りかかって、小人たちにプラムのタルトを作ってくれたのです。 小人たちは、またまたとても幸せになりました。 |