ピンク : 氷の国の小人たち 1〜8号・10〜15号ちゃん
オレンジ色 : 9号ちゃん
: 氷の国の氷河
: プルーストさん 心の声



Q17 何が幸せと考えますか?



「こないだ、裏庭のモミの木にある小鳥さんの巣箱で卵を見つけたの。それが今日見に行ってみたら雛が孵ってたんだよ。もうすっごく可愛いの! 見てるだけで幸せになっちゃうよ」

「氷河が作ってくれた冬用のお洋服着てお出かけしたら、会う人皆に『かわいいわねー』って誉められたの。氷河のお裁縫の腕前と僕たちの可愛らしさの最強タッグが認められるのって、すごく幸せでいい気持ち」

「クルミが丘のジャンガリアンハムスター10兄弟とお相撲勝負して、10匹抜きして優勝したんだぁ」
「おお〜っ」× 14
「優勝商品の松ぼっくりトロフィーも嬉しかったけど、その時の達成感と充実感と来たら! はぁ〜幸せって感じだったよ」

「よーし、3号の優勝を祝してばんざいをしよう!」
「しようしよう」
「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい!」× 15

「僕、昨日水晶の沼にお散歩に行ったときに、転んで靴がかたっぽ沼にはまっちゃたの。 困ってたら、沼の中から、へんてこな鎧みたいなのを着て髪が逆立った男の人が出てきて、
『私はこの沼の主だ。そなたが落としたのは、この金の靴か? 銀の靴か? それとも鉄の靴か?』
って聞いてくるから、
『そんな重い靴を履いたら歩きにくくて困っちゃうよ。僕の靴はフェルトでできた氷河のお手製の靴です』
って答えたの。そしたら、
『そなたは正直者だな。素直なよい子にご褒美をやろう』
って言って、きらきら光る石をくれたの」

「石ってどんな石?」
「うーんとね。透明でね、とにかくきらきらしてるの」
「それ今どこにあるの?」
「重かったから、お城のお勝手口まで運んだところで力尽きちゃった。あの辺に置きっぱなしにしてあるよ」
「僕ちょっと見てくる!」
「9号は何をあわててるんだろうね……。あ、でね、僕はご褒美より、素直ないい子だねって誉めてもらったことが幸せだったの」

「えへへ〜。これ見てくれる」
「これは……サンクチュアリ保険のお姉さんが持ってきてくれた性格診断の結果だね」
「なになに。『あなたはとってもデリケートなガラスのハートの持ち主です』だって」
「普段は気がつかなくても、こういう時にわかってしまうものなんだよね。僕のこの繊細な本質……。本当の姿を知ってもらえるのって幸せだよね」

「僕はなんてったって甘くて美味しいものをおなかいっぱい食べた時が幸せ」
「異議無し!」
「まさに真理だよね」

「商店街で初めて売り子をした時にお客さんに、『初々しくていいね』って誉められたの。僕、その時の気持ちをずっと忘れないようにするんだ」
「初心忘れるべからずだね」
「うん、そのお客さんとっても気前がよくて、チップのチョコレートをたくさんくれたんだ〜。幸せだったなぁ」

「僕は、『いつもきちんとご挨拶が出来てえらいわね』って誉められるのに生きがいを感じるんだ。生きがいがあるって幸せ〜」
「僕も、『いつも明るい太陽みたいね』って言ってもらうと、ほわ〜んと幸せになるの」
「僕だって、『いつも元気な姿を見るとこっちまで元気になるみたい』って言ってくれる人がいるから、元気でいられるんだ。幸せ〜」
「僕もね、『いつも本気で自分の30倍はありそうなケーキに挑む姿に勇気付けられる』って言ってもらえると、真剣にケーキに向かいあって良かった、幸せって思うもの」

「みんなすごいね、僕、僕感動したよー!!」
「13号ー! 僕も13号のそんな感じやすいところがすごく好き!」
「好きって言ってもらえるのって嬉しいね。僕、しあわせだよー」

「うっ……うっ……。僕もなんだか涙が出て止まらないよ」
「14号……。そういえば、14号の泣いてる姿がたまんなく可愛くて好きなんだっていう熱烈なファンがいるんだよ」
「ぐす……そうなの……?」
「うん、そういうファンの人がいるってすごいことだよ」
「ぐし……そうだよね、僕って幸せ者だよね」

「僕の幸せはね……(ぽっ)」
「15号が赤くなってるよー」
「なになに?」
「えーとね……」

「みんな、聞いて! 4号がもらったご褒美の石はダイヤモンドだったんだ」
「ええー!!」
「しかもかなりいいダイヤみたいなんだ」
「おおー!!」
「みんな来て! 運ぶの手伝って!」

「9号すごく生き生きしてるね」
「まるでダイヤのようにきらきら輝いてるね」
「ほんと幸せそうだね」
「なにしてるの!? 早く早く」
「はーい」


「……ところで、誰かの幸せを忘れてない?」
「全員解答済みだよ! さぁ、これからあのダイヤの鑑定をしてもらいに行かなくちゃ。忙しくなってきたー」


(ダイヤに気持ちが行ってしもて、氷の国の氷河はんのこと、忘れかえってはるわ……。まぁ、でも今のあのお人に幸せの意味を問うのも気がひけるしな……)


「くしち…なむさん…くは…われにあり……くく…く…っ……く…っ…く…幸せの……青い……と……」