氷の国の小人9号。 またの名を、『寒い国から来たスパイ』、コードネームは009(ダブルオーナイン)。 9号は、世界各地の依頼者からの依頼を受けて、極秘工作をする仕事をしています。 9号は、裏の世界では凄腕で有名な秘匿工作員でした。 9号がその仕事に手を染めたのは、てっとりばやくお金を儲けるためでした。 人間(含む小人)が生きていくのには、愛とおやつがあれば十分ですが、ある事件(『外伝・ひと夏の経験〜atenasaori_ojyo 来襲事件〜』参照)があってから、愛を守るためには、おやつの他にお金も必要だということを、9号は知ったのです。 その時から、氷の国の金庫に100億円を貯めることが、9号の至上義務にして至上目的かつ努力目標になったのでした。 『009ちゃん。連絡ちょうだいね。急いでね。トム・ホワイト』 9号に依頼メールを送ってよこしたのは、メリーケンケン国のNSA――国家安全保障局――の局長でした。 いかにも偽名くさい『トム・ホワイト』という名は、もちろんコードネームです。 この世界で本名を名乗るのはカッコ悪いですからね。 それはともかく、FBIとCIAをすっ飛ばしてNSAの局長からのメールとはおおごとです。 どうやら、メリーケンケン国もしくは世界を揺るがす大事件が起こったようでした。 |