小人たちが落ち込みの12号を遠巻きに眺めているところに、氷の国の氷河の登場です。

氷の国の氷河は、そよ風に乗ってひらひら舞いながら乾く時を待っている小人たちのぱんつを一瞥してから、小人たちに言いました。
「おまえたち、洗濯が終わったのなら、おやつにしよう」

「氷河ーっっ!」
「わーい、おやつだーっっ!」
小人たちは、氷の国の氷河の言葉に浮き足立って、いつもの通り、わらわらわらと氷の国の氷河によじ登りました。

おやつと聞けば、小人たちは光速より速く動きます。
お庭のお洗濯場に小人たちの姿が残っていないのを確認して氷瞬城の中に戻ろうとした氷の国の氷河は、くるりとお洗濯場に背を向けてから、その異変に気付きました。

「いつもより軽いぞ、おまえたち」

言われて、小人たちも異変に気付きます。
「あ、12号! 12号がいないよ!」
「ほんとだ、12号ーっ !? 」

おやつと言われて、小人たちがすぐさま全員駆け寄ってこないなんて滅多にないことです。
氷河は慌てて周囲を見回し、そして、お洗濯場の草の陰で、膝を抱えてもじもじしている12号を見つけました。

「12号、どうしたんだ。どーして素っ裸でいるんだ」

「…………」

下を向いてもじもじしている12号の代わりに、仲間たちが答えます。
「12号は、自分の着ていたお洋服までお洗濯しちゃったの」
「お着替えまで全部お洗濯しちゃったんだよ」

仲間たちが、氷の国の氷河にこうなった訳を説明するのを聞いて、12号は、ますます身体を縮こまらせてしまいました。

氷の国の氷河は、12号が草の陰で小さく丸まっている訳を聞いて、一瞬瞳を見開きました。
それから、膝を抱えたままの12号を手の平に乗せて、
「今日はいい天気だから、張り切りすぎたんだな」
と、すっかり打ちひしがれている12号に微笑いかけたのです。

「とにかく、いつまでもその格好でいるのはまずいだろう。部屋に戻ろう。な?」

氷の国の氷河の言葉に、12号は小さく小さく頷きました。






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