氷瞬城の中に戻ると、いつもの通りに小人たちをテーブルの上に乗せ、氷の国の氷河はお裁縫箱を持ってきました。

そして、小人たちの前で、薄桃色の綺麗な布をちょきちょき丸く切って、中央に切り込みを一つ。
「ここに頭を通すんだぞ」

それから、その横に、腕の上げ下ろしができるような切り込みを二ヶ所。
周囲をクロスステッチでかがって、12号の頭からすっぽり。
「ま、洗濯物が乾くまでならこんなもんでいいだろう」

そう言いながら、氷の国の氷河は、12号のウエストを細くて白いリボンできゅっ☆ と結びました。

ずいぶんお手軽にできてしまいましたが、それはとても可愛らしいお洋服。

「わぁーい、素敵ー!」
12号は、新しいお洋服に大喜びです。
氷の国の氷河と仲間たちの前で、お洋服の裾を翻してくるくる回ってみせてから、明るい笑顔で、
「これって、チューリップのお花みたーい♪」
と有頂天。

新しいお洋服を着た12号は、氷の国の氷河の腕をよじ登り、その肩の上に乗っかると、
「氷河、ありがとう!」
と言って、氷の国の氷河のほっぺにお礼のちゅうをしました。

12号が元気になってくれたので、氷の国の氷河も一安心です。
「これからは、あんまりお洗濯に夢中になるんじゃないぞ。あったかい季節だったからよかったが、これが寒い時期だったら風邪をひいてしまっていたかもしれないからな」

「はーい!」
すっかり上機嫌の12号は、良い子のお返事。
氷の国の氷河は、その様子に目を細めて、人差し指で12号の頭をちょこちょこと撫でてやったのでした。






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