ツリーのてっぺんによじ登った小人たちは、そこから、氷の国の氷河の姿を見おろしました。
氷の国の氷河は、相変わらず、テーブルの下の床でボロ雑巾状態です。

ツリーのてっぺんから氷の国の氷河が倒れている場所までは、2メートル近い距離がありました。

「た……高いね……」
「うん、思ったよりずっと高い」
「僕、ちょっと恐くなってきちゃった……」

勇気凛々・瑠璃の色の小人たちも、その高さには少したじろぎ気味です。
そこにまた、9号の檄が飛びます。

「怖気づいてちゃいけないよ! 僕たちがうまくできるかどうかで、僕たちの氷河が地獄で苦しみ続けるか、天国で僕たちと暮らせるようになるかが決まるんだから!」

「氷河のため……」
「氷河と一緒に暮らすため……」
「そうだよ。氷河のためなんだもん。恐いなんて言ってられないよ!」
小人たちは、9号の言葉に、すぐに勇気を取り戻しました。

「よーし、頑張ろう!」
「おおーっっ !! 」× 15

氷河のためというのなら、千尋の谷に落ちることだって、小人たちは怖くありませんでした。
小人たちは、床に倒れている氷の国の氷河をテーブルの上に引きあげるべく、手で仲間たちの足を掴んで、長い小人さんチェーンを作り始めたのです。

ところが。


「ああーん、僕のお帽子がーっっ!」
「重いよーっっ! 手がちぎれるーっっ!」
「僕のソックスが伸びちゃう〜っっ !! 」








完璧と思われた小人たちの鈴なり計画は、いざ実行に移してみると、とっても難しい技だったのです。

「みんな、頑張って!」
「氷河のためだよ!」
「氷河を助けるんだ!」

小人たちは互いを励まし合って、一生懸命頑張りました。
それはそれは頑張りました。
自分の命も顧みずに頑張ったのです。

けれども。


「あああああーっっ !!!! 」× 15

懸命の努力の甲斐なく、小人たちは全員、最後には、ばらばらばらばら〜っ★ と、氷の国の氷河の背中の上に落下してしまったのでした。