それから、小人たちはどうしたでしょう。

もちろん、小人たちは、今日も元気いっぱい、お団子屋で働いています。
お店はいつも、大入り満員の大繁盛。


そうですね。
以前とちょっと変わったことと言えば、馬苦度屋の元主人をお団子屋の宣伝用ポスター描きとして雇ったことくらいでしょうか。
マサやんに口をきいてもらって、馬苦度屋の元主人のところには瓦版の挿絵の仕事も少しずつ入ってくるようになっているようです。



岡っ引き氷河は、見事に銭形氷河になり、4文銭を投げつけては悪党共を捕まえて、少しずつ手柄をたてるようになりました。

もちろん、投げつけたお金はちゃんと拾って帰ります。
でないと、また9号にどやされますからね。


でも、たまに、投げたお金が見つからなくて、地べたに這いつくばって捜したりすることもあるようです。

そんな時、銭形氷河は、ふと、あの50両があったなら……と思うのです。
十分なお金があれば、小人たちは食費削減のために小人でいる必要もなくなります。
肩に手をまわして歩けるくらいのサイズになった合体小人たちに、綺麗な着物を買ってやって、縁日や蛍狩りに行けたらどんなに素敵だろうと、銭形氷河は夢想するのです


「ああ、いかん。早く銭を見つけないと日が暮れてしまう」

そんな考えを振り払い、見付けたお金を手にすると、銭形氷河はお団子屋さんに小人たちを迎えに行きます。

「氷河―っ、お手柄おめでとーっ! マサやんに聞いたよ。怪盗ぺんぺん小僧を捕まえたんだってー?」
「さすが、僕たちの氷河だねー」
「ほんとだね〜」

そこで、可愛い小人たちの姿を見ると、銭形氷河は、やっぱり小人たちが元気で優しくて、自分の心に嘘をつかずに生きていてくれるのなら、それでいいと思うのでした。







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