さて、その頃、鮫に追われて、全くの逆方向に向かって泳ぎ続けていた銭形氷河は、バサロバサロと泳ぎに泳いで、亜米利加大陸に到達していました。

銭形氷河は、つまり、広い太平洋を、たったひとりで、バサロ泳法で横断しきったわけです。
もしかしたら、銭形氷河は、そこで逆戻りすればよかったのかもしれませんが(実際、彼はそうするつもりだったのですが)、そこは、哀れと不運の神様に愛されている銭形氷河。
彼は、亜米利加大陸に上陸した途端に、今度はバッファローの群れに追いかけられることになってしまったのでした。

走りに走り、逃げに逃げ、銭形氷河はついに亜米利加大陸を横断、今度は大西洋に飛び込むことになりました。

そして、そこでもまた、鮫に好かれてしまった銭形氷河は、再びバサラバサラのバサロ泳法。
そのまま泳ぎ続けて、まもなく、よおろっぱにまで到達する勢いです。

この頃になると、銭形氷河はすっかり七つの海の有名人。
クラゲが、
『銭形氷河、みつけた。銭形氷河、みつけた』
と、仲間たちに連絡し合い、見物魚が群れを成して銭形氷河の周りに集まってくるありさまです。


はたして、銭形氷河の愛(?)は、無事、小人たちの許に届くのでしょうか。
銭形氷河は、海の上を漂うワカメだけを食べて、ひたすら超人的な愛の(?)力で前へ前へと泳ぎ続けます。


銭形氷河の命が燃え尽きるのが先か。
小人たちが、長崎かすていらに巡り合うのが先か。
それは、運命の神様だけが知っていることなのですー!!







[目次] [第五話]