「シュン……」

城中に戻ってきた兄王に、妹姫としての名ではない名で呼ばれ、王の弟君は悲しげに俯きました。
「これは、人々をたばかってきた罪の報いなのかもしれませんね。彼が求めているのは、ログレスの王の妹の夫の座であって、僕ではないのでしょうし……」

もし、あのキグナスという名の騎士を突き動かしているものが“恋”なのであれば、王妹の夫となることは、真実を告げることで諦めてもらえるでしょう。
しかし、あの騎士が求めているのは、ログレス王の妹姫の愛情ではありません。

それが、不幸中の幸いなのか、不幸の色を更に深めるだけのものなのか、シュンにはわかりませんでした。

いずれにせよ、予言の言う“王の中の王”が、ログレスの王座を指しているのでないことは明白です。
“アンドロメダ姫”の夫になって、ログレスの王になることは不可能なのですから。


「おまえに何の罪があるというんだ。大丈夫、待っていろ。必ず、あの男の望みは退けさせる」

兄王の言葉に、シュンは力無く微笑することしかできませんでした。





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