おひさま色の童話

〜うつぼさんに捧ぐ〜






氷河があまり子供を好きでないことには、瞬も薄々気付いてはいた。

外出先で子供が泣いているのを見ると露骨に顔をしかめるし、子供の無作法を見たくないという理由で、外出は極力公共の乗り物ではなく車を使いたがる。
星の子学園の子供たちを相手にするのも1時間が限度だと、彼自身公言していた。

氷河によると、子供は『うるさくて、理屈がなくて、自分を中心に世界がまわっていると思い込んでいる、どーしよーもない動物』なのだそうだった。


「子供ってそういうものでしょう? 氷河だってそうだったんだと思うよ」
瞬にそう言われると、氷河は皮肉に唇を歪める。

「多分、そうだったんだろう。だから、なおさら嫌なのかもしれないな。おまえは……おまえは子供の頃から大人しくて、人を思い遣ることを知っていたのに」

「――いろんな子がいるからね、一口に『子供』って言っても……」

大人しくて手のかからない子供――。
それが、“子供”にとってどれほど悲しいことなのか、瞬は氷河に告げることはできなかった。





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