「思っていたより……はるかに有能だな……」

一輝は、弟のボディガードが無能な男であってほしいと願っていた。
この機会に、その無為無策無能を理由にして、ある日突然瞬が拾ってきた馬の骨を、瞬の側から遠ざけられたならと考えていた。

が、それはどうやら叶わないことらしい。

忌々しげに舌打ちをして、一輝は部下に指示を出すために、瞬のデスクの受話器を取った。





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