全ての後始末は、一輝が極秘のうちにつけてくれた。
瞬の拉致軟禁の件を、一輝は財団の総帥にすら報告しなかったらしい。

瞬は、あの微笑を絶やさない誘拐犯に何故か好意に似た感情を抱き始めていたので、兄のやり方に不服はなかったし、氷河は氷河で、瞬さえ無事に取り戻せたなら、そんな雑事に関心はないらしかった。


彼の関心は、全く別の方向に向けられていたのだ。





【next】