さて、同じ日。
紫龍は、中国茶と中華料理の食材買い出しのため、横浜中華街に遠征してきていた。

目的のものの購入を終えて、どこかで飲茶でもと店を物色しながら通りを歩いているところで、彼は牡羊座の黄金聖闘士・ムウに出会った。

「…………」

以下、説明ははしょる。
中華街には、ムウの他に、蟹座キャンサーのデスマスク、山羊座カプリコーンのシュラ、そして、紫龍の師、天秤座ライブラの老師が駆り出されていた。

なにしろ、中華料理店と食材店ばかりでできている中華街。そこに巣食うリリィちゃんの数は尋常ではなく、横浜中華街のリリィちゃん撲滅は、天下の黄金聖闘士が4人掛かりでも追いつかないという有り様らしい。

デスマスク程度ならまだしも、ムウにシュラ、とどめに老師までが、
「ふぉっふぉっふぉ〜っ」
と笑いながら登場するに及んで、紫龍の受けた衝撃の度合いは最高点に達した。

「ろ……老師……。なんと、お…おいたわしい……」

紫龍は、手にしていた食材とお茶っ葉を取り落とし、大地にその身を投げ出して頭を抱え込んだのだった。





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