5年前まで、二人は何をするのも二人だった。 終わりのないような闘いを闘うのも、どこかに出掛けるのも、仲間たちと談笑している時にさえ、二人はいつも二人だった。 何となく、だったのか、意図してのことだったのか、それは二人にもわかっていなかった。 ただ、二人でいることが自然だったのだ。 そうしていることを自然だと感じている自分自身には、二人とも気付いていた。 5年前の、あの夏の日まで。 そうなった経緯を思い出すことに意味はない。 とにかく、その日、二人は、いつもの通りに二人で外出し、帰宅途中で夕立に襲われた。 夏の雨はいつも突然で激しい。 それまで目が痛くなるほどに青かった夏の午後の空は、いつのまにか、厚く、だが夏らしく白い雲に覆われていた。 「走るぞ」 雨に降られても、雪に包まれても、二人一緒ならば何もかもが楽しかった。 その声を合図に、二人はまるでゲームを楽しむかのように城戸邸に向かって駆け出し、玄関には飛び込まずに、庭の大きな木の下に夕立を逃れた。 ほんの2、3分雨に打たれただけだというのに、二人とも濡れねずみで、ゴールと決めたその大木の下で、二人は互いの格好を笑い合った。 |