「おはようございます、一輝さま」
通学路で、一輝に馬鹿丁寧な挨拶をしてくるのは、勉学とは全く別の分野で校内に幅をきかせているような人種で、

「おはようございます、紫龍さん」
紫龍に挨拶を投げてくるのは、いわゆる優等生と呼ばれる人種たちだった。

保護者然とした顔で自分たちの後ろについている最上級生二人にちらりと一瞥をくれてから、星矢がぼやくように言う。
「考えてみりゃ、異様な組み合わせだよな。番長と生徒会長が一緒に登校するなんてさ」
「星矢ったら、番長なんてレトロな言葉、どこで覚えてきたの。兄さんはそんなんじゃありません」
「けど、他に呼びようがねーじゃん」

「…………」

反駁の言葉を見つけられなかった瞬が、少し意地を張ったような顔になって、歩を速める。
星矢は、邪気無く笑って、瞬の後を追いかけた。






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