俺に食い尽くされて、本当に嵐が過ぎた時には、小さな白い花は、海岸に打ちあげられた花弁だけの存在に見えた。
花を食いつくした俺は、その花弁にまだ命があることを確かめるために、獣が仲間を愛撫するような口付けを、瞬の唇にそっと贈った。
そうして、俺は知った。
“花”が、死んでいることを。
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