強き者 汝の名は…


〜 SIROUさんに捧ぐ 〜






ギリシャの聖域の奥の奥で、4年に1度、聖闘士たちの祭典が開催されることは、数千年の昔から一般人には知られずにいた。
それは、毎年夏至後の最初の新月の20日後から始まり、28日目のパン・アテナイア祭に最終日を迎える。

その昔、パン・アテナイア祭では、エルガスティナイと呼ばれる織り子たちによって織られた聖衣――ペプロス――がアテナ・ポリアスに捧げられたのだが、現代のそれは、ペプロスの代わりに、聖衣をまとった聖闘士たちが闘いの勝利の名誉を女神アテナに捧げる儀式に変わっていた。


その祭りの期間中、世界各地に散っている聖闘士たちは一同に会することになり、それ故、その祭祀は、この4年の間に新たに聖闘士として認められた新顔の聖闘士の披露目式も兼ねていた。

参加できることに意義があり、勝利して得られるものは名誉のみ。

氷河は白鳥座の聖闘士として、同期の星矢、紫龍たちと共に、初めてのパン・アテナイア祭――通称、天下一武道会――に参加するために、日本からギリシャにやってきていた。

氷河が知っているのは同期の青銅聖闘士たちと、彼の師である水瓶座の黄金聖闘士カミュのみで、他の聖闘士たちに会うのは、彼はこれが初めてだった。






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