そういう状況を憂えて、その提案をしたのは善人で大嘘つきのサガだったらしい。 「このままでは、たった一人紛れ込んだ一般人のために、聖闘士全員が死滅してしまうだろう。で、これは、この混乱を鎮めるための、下心のない提案なんだが、どうだろう。武道会の優勝者に瞬ちゃんにアプローチする権利を与えることにして、それ以外の者たちは瞬ちゃんから手を引くというのは」 善人で大嘘つきのサガには、もちろん、自分こそが聖闘士の中で最強の男だという自負があった。 そして、聖域に集ったほとんど全ての聖闘士たちが、内心ではそう思っていたために、サガの提案は、あっさりと決定事項になってしまったのである。 氷河がその決定にどれほど異議を唱えようと、第三身分である青銅聖闘士・氷河の要求はゴマメの歯ぎしりに過ぎなかった。 |