そして迎えた、天下一武道会決勝戦!

デスマスクの不正行為が心配されたが、卑怯では瞬に勝るとも劣らないデスマスクは、試合開始のその時まで、氷河に接触してはこなかった。

「俺には弱みなどないからな」
と、氷河は自信に満ちていたが、それはつまり、氷河には今更壊れるイメージもないと言うのと同じことだったろう。


かくして始まった、氷河VSデスマスクの、命を懸けたバトル! だったのだが。


――デスマスクの戦法は、卑劣極まりなかった。
なんと、彼は、対サガ戦で氷河が使った必殺技を、そのまま氷河に繰り出してきたのである。

「あ、瞬ちゃんのぱんつが見えた!」
「なにっ !? 」

自らの必殺技を、いっそ見事なほど鮮やかに食らってしまった氷河の無念はいかばかりだったろう。
聖闘士には一度見た技は効かないそうであるが、こういう場合はどうなのか、考察の必要がありそうである。

いずれにしても、そういうわけで、しょっぱなに肉体的かつ精神的大打撃を受けてしまった氷河には、戦闘体勢を整える余裕は与えられなかった。
大地に倒れ付した氷河を、デスマスクはげしげしげしと、くどいほどに蹴りつける。

そして、氷河がぴくりとも動かなくなった頃、デスマスクは、
「さあ、これでおまえは俺のものだ。こっちに来て、酌をしろ!」
と、時代錯誤以前にアホとしか言いようのないセリフを吐いて、客席にいた瞬の腕を掴みあげ、そのまま瞬を闘技場に引きずり入れたのである。

それが、デスマスクの敗因だった。


「……を」
「何?」
「僕の氷河をよーくーもーっっ !!!!!! 」

どかびっしゃーん !!!!!
がらがらがらがら〜っっ★

筆者に文章表現力が無いためにいい加減な表現になるが、これ↑は、数千年の歴史を誇る秘密の文化遺産・聖域のコロッセオが一瞬のうちに崩れ落ちた音である。

瞬が、本気になってしまったのだった。
デスマスクは、瞬の逆鱗に触れてしまったのである。

「な…なんで、この俺がこんな小僧っ子に……」

自分が瓦礫の下に埋もれて、ずたぼろ状態になった訳が、デスマスクには理解できないらしかった。

「なんでって、そんなこともわかんないのっ !?  あなたが、僕の氷河にひどいことしたからだよっ! 氷河をいじめていいのは僕だけなのにっ !! 」

瞬の説明は真実ではあったが、少々不親切でもあった。
デスマスクが知りたかったのは、おそらく、そんなことではなかっただろう。






【next】