夜はあっという間にやってきます。
氷河王子の∞××はまだ続いておりました。
もちろん、イオ王子が塔の部屋にやってくる時刻になっても。

イオ王子は、かくして、本来自分が瞬を可愛がるはずだったベッドの上に見知らぬ男の姿を見い出すことになりました。
白い小うさぎを食らう蛇と、蛇の前に身体を投げ出した小さなうさぎのように絡み合っている二人を見たイオ王子が怒ったの怒らないの、当然のことながら大激怒です。

「ぶ…ぶぶぶぶった切ってやるー !!!! 」

イオ王子は、瞬の気持ちが変わるのを待つなどという悠長な真似をしていた自分を、海の底より深く後悔しました。
イオ王子は、その気になればすぐにでも瞬を自分のものにすることができたのです。
嫌がる相手を無理に従わせるのも、なかなか楽しいことなのに決まっています。

ヘタに紳士的なところを見せてやろうなどと考えたばかりに、この有り様。
剣を持つイオ王子の手は、怒りでぶるぶる震えていました。

氷河王子、危機一髪! です。
氷河王子は、これまた、その気になれば、寝取られ王子の一人や二人、すぐに倒してしまうことができました。
しかし、今、それをすることは氷河王子には無理だったのです。
氷河王子と瞬は、本日正午頃から、その態勢は様々でしたが常時接続状態に入っていました。
ダイヤモンドダストもオーロラエクスキューシュンも、事前運動を必要とする技なのに、今の氷河王子にはそれをすることができなかったのです。

「だめっ !!  氷河王子様にひどいことしたら、僕、イオ王子様を絶対許さないんだからっ !! 」

常時接続状態のまま、瞬が氷河王子の上に覆い被さるようにして、氷河王子を庇います。
その様子を見て、イオ王子の怒りは一層激しく燃え上がりました。

「もう、おまえの許しは乞わん! おまえまで殺したりはしないから、そこをどけ! この男をぶっ殺したら、今度は俺がおまえを可愛がってやるから安心してろ」


イオ王子が、瞬の腕を掴みあげ、その身体を氷河王子から引き剥がして、剣の切っ先を氷河王子の喉元に向けようとしたその時。

これはどうした奇跡でしょう。

どこからともなく現われた金ダライが、すぱかっこーん☆ と、イオ王子の脳天を直撃したのです!

その衝撃でイオ王子が手にしていた剣は床に転がり、イオ王子当人は白目を向いてその場にひっくり返ってしまいました。






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