アンジェロ。 おまえの言う通り、これまでおまえの許に届けられていた手紙は、おまえの兄の筆跡を真似て俺の書いたものだった。 アルベリーコは、おまえに紙とペンを託された時、既に、自分を迎えてくれる主人のないことを知っていて、あの塔に飛び込んできたんだ。 けれど、おまえの最初の手紙にあった血文字の手紙だけは、俺の手に拠るものではない。 おまえの兄が最期の時に、己れの為してきたことを悔いたかどうかは、俺には知る由もない。 だが、おまえの兄が最期に、おまえの生と幸福を願ったことだけは本当だと思う。 フォルトナート・デステ
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