タウラスのアルデバランが、彼等の前にいた。 そして、星矢たちは苦戦していた。 原因は、白鳥座の聖闘士とアンドロメダ座の聖闘士が本気になっていないせいだった。 「氷河〜;; おまえ、ほんとはもっと強いだろーっっ !! もっと真剣に闘えよっっ !! 」 「くだらん闘いに、無駄なエネルギーを使いたくない。今夜があるんでな」 アテナの命と地球の命運。 それをくだらないと言い切ることよりも、今夜もやる気でいるらしい氷河に、星矢は悶絶した。 「瞬ーっっ !! この馬鹿野郎に何とか言ってやってくれよーっっ !! 」 「人を傷付けるのに力を尽くすなんて、せずに済むならしないでいた方がいいよ」 瞬らしいと言えば瞬らしさ120パーセントのその言葉も、今の星矢には空しく響く。 「だからって、こんな手抜きはねーだろ! もっと真剣に闘えよ! 相手は黄金聖闘士だぞっ !! 」 「その通り。相手は黄金聖闘士、瞬じゃない」 瞬以外の相手に真剣になる気は、氷河にはないようだった。 「おまえ、前はもっと強かったじゃんかよっ!」 「今も、夜はサイコーに強いよ!」 あの常識外の一昼夜以降、瞬はやたらと元気だった。 氷河との××が大層お気に召したらしい。 「〜〜〜〜っっ !!!! 」 誰が最初に瞬を天使と言ったのか。 星矢はその人物を殴り倒したい気分だった。 機敏ではないが、力だけはある金色の牛が吠えている。 「さて、しかし、今夜のために、もう少し真面目にやるか」 まるでぼやくようにそう言った氷河の言葉を、星矢は到底信じることができなかった。 「瞬、愛してるぞ!」 「僕もだよっ!」 黄金の牛をつんのめさせるような言葉を投げ合って、戦闘開始の合図。 かくして、氷河と瞬の楽しい十二宮戦は始まった。 Fin.
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