最初のそれは儀式のようなものだったのかもしれない。
瞬は自分のものだと、瞬の身体に刻印するための。
あるいは、瞬を所有している“つもり”になるための。


その所有は、事実ではない。
瞬は、誰よりもまず、瞬自身のものである。

その儀式は、形ばかりの契約ですらない。
その時だけ瞬を自分のものと思うことができるだけの錯覚である。

それでも、瞬の内奥を知り尽くそうとするかのように、貪欲に冷酷に 瞬の内側を抉り続ける行為は、氷河に高揚感をもたらした。






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