炎の給食! 運命の出会い









瞬ちゃんは、目の前にいる金髪の男の子が、どうしてそこにいるのか、よくわかりませんでした。
もちろん、彼が誰なのかは知っています。

今朝の朝礼で、校長先生に、
「今日から皆さんのお友達が一人増えました。3年1組に転入してきた氷河くんです。氷河くんは、はるばるロシアから、私たちのちゅうりっぷ小学校まで、皆さんのお友達になりに来てくれたんですよ。ロシアはとても遠くて寒い国です。氷河くんはまだ日本に慣れていないので、親切にしてあげましょうね。失敗もするでしょうが暖かく見守ってあげましょう」
と紹介されたばかりの、ロシアから来たお友達です。

そのロシアのお友達が、なぜか2年1組の瞬の教室にいて、瞬ちゃんの机の前にがっちりと、どこからかぶん取ってきたらしい机を差し向かいに置き、瞬ちゃんをじっと見詰めているのです。

給食当番のAくんは、最初は瞬ちゃんの前にだけパンやミルクを置いたのですが、ロシアのお友達にぎろりと睨まれて、泣く泣く自分の分のパンやミルクをロシアのお友達の机に上に置くことになってしまいました。

「あー、氷河くん。日本では給食は自分の教室で食べることになってるんだよ……」
とりあえず、担任のアルビオレ先生がロシアのお友達に注意してみたのですが、ロシアのお友達は日本語がわからないのか、その場を動こうともしません。
ただ、無言でじーっっとアルビオレ先生を睨みつけるだけです。

優しいけれど、ちょっと気の弱いアルビオレ先生は――もとい、気性の穏やかなアルビオレ先生は――ロシアのお友達のガンつけに、あっさり負けてしまいました。

「あ……あー、みんな。こ……校長先生も言ってたね。『ロシアから来たお友達は、まだ日本に慣れていないので親切にしてあげましょう』って。今日は、ロシアのお友達と一緒に給食を食べることにしよう。明日から自分の教室に戻ってもらうことにして」
アルビオレ先生はそう言って、自分の席でぐすぐす泣いているAくんの分の給食を取りに、ロシアのお友達のクラスに走っていってしまいました。






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