さあ、今日はついに決戦当日、投票日です。

マーマは、その日、朝から愛の勝利の祝賀パーティの準備に余念がありませんでした。

祝賀パーティと言っても、自宅でカーデンパーティなどという可愛いものではありません。
ちゅうりっぷ小学校のお隣りにある、ちゅうりっぷ公民館を借り切って、PTA婦人会総出で準備するような大掛かりなものです。

公民館の入り口の前には、ちゅうりっぷ小学校に登校する生徒たちが必ず見るように、大きなお花のアーチを作りました。

そこには、
『ロシアのお友達と瞬ちゃんの愛の勝利を祝うパーティ』
と書かれていました。
低学年のお友達たちにも読めるように、ちゃんとふりがな付きです。

けれど、その文字よりも大きく書かれていたのは、
『学校がおわったら誰でも自由に参加できます』

それよりも大きく書かれていたのは、
『選挙でカミュ先生が勝ったら、パーティは中止です』

それよりも大きく書かれていたのは、
『ご馳走がたくさん !!  ケーキもハンバーグもカレーライスもスパゲティもおすしもタコさんウインナもジュースも豆乳デザートもあります』

そして、いちばん大きな文字で書かれていたのは(これがマーマに勝利を確信させる要因でした)、


『 パーティ出席者には、全員に
ミルメーク
をプレゼント !!!! 』




ちゅうりっぷ小学校の生徒たちが、いいえ、日本全国の小学生の誰もが愛してやまないミルメーク!
そのためになら、ミルメークでできたコーヒー牛乳を飲むためになら、生徒たちは何を犠牲にしてでも、ロシアのお友達と瞬ちゃんの愛に一票を投じるに違いありませんでした。


パーティの準備が終わると、マーマは、どきどきしながら選挙の結果が出るのを待ちました。

勝利は目前です。
勝利は確実なはずでした。


ところが!
ここで、思わぬ事件が起きてしまったのです!






【next】