「中華キャノン !? 」

「そうなんです、マーマ。氷河ったら、お風呂の浴槽の中でずっと中華キャノンごっこをしていたみたいなの……」

「そ…そそそそそれは困ったわねぇ」
ロシアのお友達が瞬ちゃんに真実を告げることができないように、マーマもまた本当のことを瞬ちゃんに教えることはできませんでした。

「ほほほほほんとに、氷河ったら子供なんだから…!」
そう言うマーマの表情は引きつりまくりです。

「お風呂の中で中華キャノンごっこなんて、のぼせて危ないと思うんです」
「そそそそそうよね。だだだだ大丈夫よ、マーマがちゃんと叱っておくから」
「僕、氷河のことがとっても心配なの……」
「まあ、瞬ちゃん……」

不安そうに肩を震わせて俯いてしまった瞬ちゃんに、マーマはほろりとしてしまったのです。
ロシアのお友達の中華キャノンの訳も理解できない瞬ちゃんが、それでも真剣に、心の底から、ロシアのお友達を心配していることだけは、誰にも否定することのできない事実でした。


「瞬ちゃん、安心していていいわよ。氷河に、こんな失態はもう二度と演じさせないから!」

瞬ちゃんの心とロシアのお友達の苦衷。
そのどちらもがわかるだけに、マーマも辛かったのです。
けれど、マーマには、今耐えなければならないのはロシアのお友達の方だということがわかっていたのでした。






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