「また氷河に毛が生えてたの……」 その日、瞬ちゃんはとても深刻な顔をして、マーマに告げました。 「あら〜、それで抜いてくれたの? 瞬ちゃん」 前回のことがあったので、マーマは少しも動じません。 「はい……。今度のは、ちょっと長くて波打ってる毛なの……」 そう言って、瞬ちゃんが差し出したロシアのお友達のけけけのけ。 それを見たマーマの心拍数は、毎分60から毎分200に急上昇です。 瞬ちゃんの差し出したそれは、まさにまさにまさしくそれ! な形状を呈していたのです。 「しししししし瞬ちゃん! こここここここここれは、氷河のどどどどどどどどどどこに生えていたの !? 」 心臓をどっくんどっくんさせながら大興奮で尋ねたマーマに、瞬ちゃんは不安でいっぱいの表情を向けました。 「ここです……。抜く時、とっても痛かったみたいで、氷河の目に涙がたまってたの……。かわいそうな氷河……」 問題の毛の生えていた場所を示しながらロシアのお友達を気遣う瞬ちゃんには、一片の悪意もありません。 瞬ちゃんは、このところ氷河の身体に起こる変化が心配で心配でたまらないだけなのです。 |