さて、アルビオレ先生と別れて、2人がやってきた『小人さん広場』。 そこは、小人さん気分を体験するための広場でした。 大きな椅子、大きなテーブル、大きなカップやお皿やスプーン。全てがみんなとんでもなく大きいのです。 50段もあるハシゴを使って、ロシアのお友達と瞬ちゃんは大きなテーブルの上にのぼりました。 「わー、ティーカップが僕よりおっきいー!」 「うん」 「このスプーン、シャベルみたいー!」 「うん」 「わあ、ケーキなんか山みたいー!」 「うん」 テーブルの上の小物(実は大物)も巨大でしたが、何といっても『小人さん広場』の呼び物は、テーブルに座っている、氷の国の氷河の巨大模型でした。 瞬ちゃんは、その模型の下に行って、氷の国の氷河を見あげました。 鼻の穴しかわかりません。 「こ…小人さんたちには、こんなふうに見えてるのかなぁ……」 まじまじと氷の国の氷河の模型の鼻の穴を見ていた瞬ちゃんは、あんまり上を見上げていたせいで身体のバランスを崩し、後ろに倒れそうになりました。 「瞬っ!」 もちろん、ロシアのお友達はいつもの通り、我が身を呈して瞬ちゃんの下敷きになろうとしました。 そして、その時、ロシアのお友達は何かを踏んづけてしまったのです。 何ということでしょう! ここまでくると才能です! それは、模型の氷の国の氷河の腕を動かすスイッチだったのです。 起動スイッチを押された巨大氷の国の氷河の腕が、当然、そして、突然、上下左右に動き始めます。 瞬ちゃんしか見えていなかったロシアのお友達は、その腕に引っ掛けあげられ、そのあげく、テーブルの下にゴミみたいに払いのけられてしまいました。 「氷河―っっ !! 」 瞬ちゃんが泣きながら、50段のハシゴを伝って下におりていくと、瀕死のロシアのお友達は、瞬ちゃんの腕の中で、苦しそうに言ったのです。 「見つけた。しかも2つ」 「えっ !? 」 「氷の国の氷河の指に捕まってるのが1つと、もう1つがティーカップの中」 ロシアのお友達は、巨大氷の国の氷河の腕に振り回されたせいで、普通にしていたら見えなかったはずの、背の高いカップの中まで見ることができたのでした。 |