あとに残されたのは、おたくの群れに踏み潰されたロシアのお友達の哀れな姿……。

けれど、ロシアのお友達には既にわかっていたのです。
自分が危険に襲われた時、必ずや現れる希望の小人さん彫刻。
研ぎ澄まされたロシアのお友達の視神経は、その危険の中で目指すものを見つけていました。

小人さんスペースのお隣りにある瞬ちゃんズスペース。
瞬ちゃんズの机の下にある、差し入れおやつの入ったバスケットの陰に、それはありました。

「13個めの彫刻だ!」
「氷河……こんなぼろぼろになってるのに、それでも彫刻を見つけてくれるなんて……」
「瞬に喜んでもらうためなら、俺は自分がどうなったって……」
「氷河……そんなにまで……」

瞬ちゃんは床に座り込み、ずたぼろのロシアのお友達を抱きしめて、感激の涙、涙、また涙です。

ロシアのお友達は、瞬ちゃんに抱きしめられてぽわ〜んとしながらも、言いました。
「だから、約束してくれ。おたくにだけはならないと」
「氷河がそう言うなら、僕、絶対にそんなものにはならないよ!」

瞬ちゃんは本当は『おたく』がどんなものなのか知らなかったのですが、即座にロシアのお友達に誓いました。
こんな姿のロシアのお友達を見せられたら、どんな望みだって叶えてあげたくなるというものです。

瞬ちゃんの確約を得て、ロシアのお友達はひと安心。
なんとか立ち上がって、散らばったおやつを拾い、瞬ちゃんに肩を借りながら、次のコーナーへ向かったのでした。






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