「瞬ちゃん、大丈夫? 怪我はない?」

マーマは、瞬ちゃんとロシアのお友達をとっても心配していたのでしょう。
瞬ちゃんたちが見付かって安心したマーマの頬は、嬉し涙で濡れていました。

「はい。氷河が守ってくれました」
「そ…そうなの? 氷河、氷河! ……まぁ、この子ったら起きないわ」
マーマは、アルビオレ先生の手で崖下から引き上げられたロシアのお友達の身体を軽く揺すってみましたが、こんこんと眠るロシアのお友達は一向に目を覚ます気配がありません。

「氷河は、今日は僕のために一生懸命頑張ってくれたから、きっと疲れてるんです」
マーマにそう告げる瞬ちゃんの瞳には、ロシアのお友達への愛と信頼に満ちていました。
これまでよりもずっと。

それに気付かぬマーマではありません。
瞬ちゃんのためにロシアのお友達が必死に頑張ったことを、その努力が瞬ちゃんの胸を打ったのだということを、マーマは即座に見抜きました。


「そう……。偉いわ、氷河」
マーマは、恋のために命を懸けた(?)我が子を誇らしげに見詰め、そう言って、深く頷いたのでした。






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