『戦のない国を作ろう』

幼い頃のシュンの、それは、口癖だった。

――夢でもあった。



「ヒョウガは戦が好き?」
「いや、嫌いだ」

「よかった! 僕も戦なんて大嫌いなの。でも、みんな、ワラキアの公子は強くなくちゃいけないって言うの。人を哀れむ気持ちなんか不要だって言うの」

「そんなことはないだろう。俺はおまえの優しいところが好きだぞ」

「――ヒョウガは僕の仲間だよね。いつか一緒に……ふたりで戦のない国を作ろうね」




シュンの夢は、いつも、ふたりの夢だった。






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