『あの銀の河の向こうのどこかには、闘いのない国があるのかな』

そんな夢のような言葉を仲間たちに残し、僕はひとりで宇宙そらに漕ぎ出した。

闘いに疲れた僕のために、闘いの女神が用意してくれた船に乗って。


争いのない星を求めて。
闘いのない国を探して。


『闘い続けることに疲れたの』

降る星々の中で、共に闘ってきた仲間たちにそう告げて、僕は故郷の白い星を後にした。


悲しそうに、寂しそうに、だけど、それが僕のためなのだと信じて、二度と会えない別れを僕のために耐えてくれた仲間たち。

僕の心は弱すぎて、人と争うたび、闘うたびに傷付くばかりだから。


この星でおまえは生きていけないのか。
俺たちと闘い続けることはできないのか。



仲間たちの悲痛な眼差しに、僕は小さく頷いた。


仕方がない。
おまえは繊細。
か弱くて、傷付きやすい心に傷付く闘士。
人を傷付けてまで、人と争ってまで、生きていられない脆い気性。

おまえが闘いに疲れて死んでいくのを見るくらいなら――。



みんなはそう言って、星の海に僕を送り出してくれた。




……あの時、氷河は知っていたのだろうか。
僕が故郷の星を後にした、本当の訳を。






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