時間はゆったりと過ぎていた。 闘いのない日々は退屈で、闘いに慣れた身には、生と死に期限のない時の流れがじれったいほどに遅く感じられる。 瞬は、しかし、徐々に馴染みつつあった。 平和でゆったりとした、小春日和のような毎日に。 そんな日々の中にも戦いの種は存在したし、うとうとと眠りかける心を刺激してやまない眼差しもあったから。 いつ果てるとも知れないように思えた闘いの日々が、実は無窮の時のほんの一瞬に過ぎなかったことを、平和で穏やかな時は、彼に教えてくれた。 闘っている時には、目の前の敵しか見えなかった。 瞬の中の時の観念には、いつも、迫り来る刻限までの数時間しかなかった。 今、瞬の目の前には、際限もなく広い大地と、終わりの定かでない長い時間とが、挑むように横たわっている。 |