謎は、見詰めているだけでは解き明かされるものではないのだろうか。 謎の只中に飛び込み、謎そのものに取り込まれてしまうことを、氷河はずっと避けてきた。 しかし。 謎に同化してしまえば、謎は謎でなくなるのかもしれない。 謎は、必ずしも解くために存在するものではないのかもしれない。 これまでずっと、氷河は、謎に悩まされてきた。 謎を楽しむことなど考えたこともなかった。 あんなにも魅惑的な謎だというのに。 謎は謎のままだったが、何もかもが色づくこの季節に、あの謎が雪の色を保ち続けてくれている理由だけは、氷河にもわかったような気がした。 |