「うわ…っ! なっ…なんだっ!?」
「い…一週間が経っちゃったんだよ、きっと」

「なんだとっっ!?」

六年間。
六年間である。
六年かかって、やっとここまで――あと三センチのところまできたというのに、容赦のない重力が再び二人を引き離そうとしているのだ。

氷河は必死で重力に抵抗したが、氷河の執念がどれほどのものであろうと、その重力の中で瞬とのキスを遂行するのには無理があった。

なにより瞬自身が、こんな状況下でのキスなど考えられないとばかり、氷河の胸に顔を埋め、彼にしがみついてしまっていたのだ。
それはそれでそれなりに嬉しいシチュエーションだったのだが、しかし、氷河の胸中の瞬の唇への未練と無念はそう簡単に振り払えるものではなかったのである。


(くそっ、紫龍の野郎、ぶっ殺してやる〜〜〜っっ!!)


重力のために凝縮された紫龍への殺意と憎しみが、氷河の中に澱みくすぶり始めていた。      






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