さて、こちらは可憐な瞬王子のいるエレホン国のお庭です。

瞬王子は、深い池に大切なチェーンを落として途方に暮れていました。

そこにやってきたのは、言わずと知れた氷河ガエル。

早速、瞬王子にいいところを見せようとして、氷河ガエルは言いました。

「可愛い可愛い王子様ゲロ。俺がそのチェーンを取ってきてやろうゲロ。その代わり、これから、俺と一緒に遊んで、一緒にメシを食って、一緒のベッドで寝てくれよゲロ?」

条件をつけて、親切をするなんて、それは親切でも何でもありません。
もちろん、本来なら、愛情以外の見返りなど期待せず、瞬王子のためになら何でもしてやりたい氷河ガエルだったのですが、なにしろ今は瞬王子の手の平にも乗るカエルサイズ。
とりあえずは、当座のねぐらと食料を確保するのが先決だったのです。

「ありがとう、カエルさん!」

突然現れた口をきくカエルに驚きもせず、瞬王子はぱっと瞳を輝かせました。
なにしろ、瞬王子はメルヘンの国に住む王子様。
カエルが言葉を喋ることを不思議にも思わなければ、人の親切の裏にあるものを勘繰ったりもしません。

もちろん、約束したことはきっちり守ります。

大切な大切なチェーンを、ゲロゲロ言いながら池の底から拾ってきてくれた氷河ガエルに感謝した瞬王子は、その日、氷河ガエルと一緒にお花を摘んで遊び、氷河ガエルと一緒におやつを食べました。

そして、そして、そして!
いささかの躊躇もなく、瞬王子は、その夜、氷河ガエルを自分の寝室へと招き入れたのです。






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