瞬王子は、毎晩訪れてくれる氷河王子を必死になって抱きしめます。

本当は、どうして人目を避けるように夜にしか来てくれないのか事情を聞きたいのです。
どうして朝には、夏の太陽に溶かされてしまった雪だるまみたいに消えてしまうのか、教えてほしかったのです。

でも、氷河王子が現れる時にはいつも、瞬王子の身体はもう熱くたぎっていて、まともな言葉が出てこないのでした。

氷河王子の方も、魔法を打ち破るほどの興奮状態、とてもそれどころではありません。

氷河王子に翻弄される瞬王子にできるのはせいぜい、氷河王子に喘がされながら、
「氷河、行かないで…!」
とすがりつくことくらいです。

「イクなと言われても、それは無理だ。おまえも俺ももう、こんなに……」
「ずっとここにいて」
「気持ちはわからないでもないが、こればかりは」
「氷河、お願い……!」
「ああ、すぐイかせてやるからな」

――なんて、まるで噛み合っていない会話が、毎夜展開される瞬王子の寝室。



瞬王子の不安な気持ちも知らず、氷河王子は毎日瞬王子とこうして過ごせるのなら、ずっとカエルのままでいてもいいかもしれない――なんてことを考え始めていたのでした。






【next】