瞬王子の決死の表情とその答えを聞いて、それまで随分と高飛車に構えていたカミュ代理国王は、ふっと表情を和らげました。
そして、先程までとは打って変わった優しい目をして、瞬王子に尋ねたのです。

「よく考えなさい。私のことも氷河のこともカエルのことも考えなくていい。君自身は、氷河とカエルのどちらを必要としているんだい?」

カミュ代理国王の豹変に戸惑いつつ、瞬王子はためらいがちに答えました。

「僕……僕、氷河もカエルさんも好きです。でも、カエルさんがいて励ましてくれなかったら、僕、不安になって、氷河を好きでい続けることはできなかったと思う……」

「ゲ……ゲロ !? 」

瞬王子の健気なその言葉を聞いた氷河ガエルは、がーん★ と大ショックを受けました。

外見などに捕らわれない瞬王子の価値観と判断を、喜ぶべきなのか悲しむべきなのかが、氷河王子にはわかりませんでした。
可能な限りのテクを駆使しまくって、瞬を夢中にさせているつもりだったのに、つまり、それは単なる自己満足、ただの自惚れにすぎなかった――のです。
そして、他愛のないお喋りしかできない醜いカエルを、瞬王子はそれほどまでに大事に思っていてくれたのです。

本当に、喜べばいいのか、ここはやはり泣くしかないのか、氷河王子の受けた衝撃は並大抵のものではありませんでした。
こんなことなら、最初から見栄を張ったりせずに、正直に事実を打ち明けていた方がどれだけましだったかしれません。

そうしてさえいれば、今こんなふうに瞬王子に辛い思いをさせずに済んだのですから――。






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