「そうか……。仕方がないな。では、私は諦めるとしよう……」

「カ……カミュ国王様……?」

ふいに肩から力を抜いてしまったカミュ代理国王のその言葉に、瞬王子は瞳を見開きました。

氷河王子は、ウートポス国にとってもカミュ代理国王にとっても大切な存在です。
その氷河王子を、ウートポス国とカミュ代理国王から奪うわけにはいかないと考えたからこそ、瞬王子は氷河ガエルと運命を共にすることを選んだのです。
それが、こうもあっさり諦めると言われてしまっては――。

瞬王子は、カミュ代理国王の言葉に、かえって慌ててしまいました。
「ぼ…僕のことなら、気にしないでください。僕の国には兄がいますし、でも、氷河の国には――」

「おまえの魔法を解く方法はもう一つあったんだ。カエルの姿をしたおまえに真実の愛を捧げてくれる者が現れたら、おまえにかけた魔法は解ける。ありきたりだが、そーゆーことだ。ふん、そのみっともないものを早くしまえ」

「え……?」
カミュ代理国王が瞬王子の訴えを無視して、王子の後ろの壁に向かって話しかけるのを怪訝に思った瞬王子が後ろを振り向くと、そこには――。


「あ……あ……!!!!!!!!」

そこにいたのは、魔法が解けて人間の姿に戻った、すっぽんぽん状態の氷河王子でした。

なにしろ、夜の薄明かりの中ででしか会っていなかった上、身体どころか顔もまともに見れない状態での逢瀬を続けていた瞬王子です。
昼の陽光の中でとんでもないものを見てしまったショックで、瞬王子はその場にばったーん☆ と気絶してしまったのでした。






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