なんで、氷河にあんなことを言われなきゃならないんだろう。
僕は、彼を気の毒な人だと思って、一生懸命世話してあげていたのに!


あの人が僕に会いに来てくれないのは事実だけど、それはあの人が僕を避けてるわけじゃない。
それがわかってるから、僕だって待ってられるんだ。
だから、僕は一人きりでの毎日を寂しいなんて思ったこともない。
いつかあの人が僕のところに帰って来てくれることがわかってるから。
信じていられるから。


あの人は氷河なんかとは違う。
あんな冷たい、皮肉そうな目なんかしてない。
いつもとても優しい目をして、僕を見てくれる。
あの人の目は暖かくて、僕は、あの人と一緒にいられればどんなことも耐えられて、幸せで、満ち足りてて――。 

あの人さえ、側にいてくれれば――。

なのに、どうして、あの人はここにいてくれないの――?


僕は、ベッドの上で膝を抱え、膝頭に額を押し付けた。






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