いつも、嫌々ながら闘っていた。 吐きそうになり、泣きながら、僕は闘いの日々を過ごしていた。 そんな僕とは逆に、闘い、人間を傷付けることが好きな者もいるのだということを僕が知ったのは、僕が初めて敵を倒した――殺した――経験のショックから立ち直れずにいた頃だった。 もうあんな思いはしたくないと思い、それでも、闘いから逃れることはできずに駆り出された闘いの場で。 彼には――氷河には――もともと、加虐趣味の気があったのかもしれない。 戦場で、苦しむ敵を見下ろしている氷河の目は爛々と輝き、唇には酷薄そうな笑みが刻まれていた。 その笑みは、憎い敵を自分の足元に這いつくばらせる快感に酔いしれ、高まり、時に泣いているようにも見えるほどに禍々しいものだった。 僕が敵との闘いをためらっている時、 とどめを刺すのをためらっている時、 必ず氷河がやってきて、僕を押しのけた。 そして、残酷に、冷酷に、数瞬のうちに、彼は敵を殺してしまう。 そんな時、敵を見下している彼の瞳を窺うと、それは、決まって、まるで肉食獣の目のように黄色く濁り、病的な輝きをたたえていた。 「あ……ありがとう、氷河。ごめんなさい……」 僕が怖れながら――屍骸になってしまった敵をではなく、氷河を――礼を言うと、 「別に。好きでやっていることだからな」 素っ気なくそう言って、彼はそのまま、別の獲物を捜しにどこかに行ってしまうのだった。 |