それから、僕は、氷河を避けるようになった。

恐かったから。

理由は、ただそれだけ。

僕は、自分が間違っているとか、変だとか、そんなことは思わなかった。
おかしいのは氷河の方だと思っていた。


人は愛し合うために存在する。
それは夢かもしれないけど、人類が数千年の間、決して捨てることなく守り抜いてきた理想でもある。

僕は、僕の夢が、理想が、叶うことを信じていたい。
だから、だけど、氷河を見ていると、そんなことは絶対に叶わないことのような気になって、それが悲しくて、辛くて――。 

僕は、氷河を見ていることができなくなってしまったんだ。


氷河は、遠くから、寂しそうに、そんな僕を見詰めるようになったけど、戦場では相変わらず、僕を押しのけて、敵を殺していた。






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