「では、まず、日程を決めるところから始めよう。準備期間を考慮に入れると、開催時期は、9月、10月あたりか」

とりあえず、無難なところで、紫龍を議長に任命し、第一回聖域文化祭準備委員会の発足である。

議場は、十二宮戦でも比較的損害の少なかった天秤宮。
なにやら良からぬ思い出に浸っているらしく、瞬の言うこと以外には難癖をふっかけるのが常の氷河も、紫龍のこの議場選定にはクレームをつけてこなかった。


「9月1日は、ダメだよね。沙織さんの誕生日だから、パーティか何かがあるかもしれないし」
「それでいったら、9月あたりに乙女座の聖闘士の誕生日もあるんじゃないか? 10月には天秤座の聖闘士の……まあ、老師は今更誕生日もクソもないだろーけどさ」
「ちゃんとした日にちを、後で調べておくね。文化祭で誕生日を祝ってあげてもいいとは思うんだけど……」
「瞬の誕生日は駄目だぞ。その日は、俺の予約済みだ」
「できれば、10月のアタマは避けてほしい。1週間ほど五老峰に帰って稲刈りをしてくることになっている」
「あ、そーいや、9月の7日と10月の5日は、俺も、星の子学園の月例の誕生会に顔を出すことになってるなー」


「……結構、みんな、予定が入ってるんだね。僕たちだけでこんなんだったら、ゴールドさんたちの予定も考慮すると、開催日を決めるだけでも一仕事になっちゃいそう……」

準備委員会は、出だしから膠着状態に陥った。

結局、黄金聖闘士たちの予定を秘密裡に調査することだけを決めて、第一回委員会は、他に何の決定も見ずに解散。

3日後にそれぞれの調査結果を持ち寄って、開催日決定となりかけたところに、
「わり〜、その日、新作ゲームが発売されることになってさ! 俺、アキラやマコトたちに徹夜してでも手に入れてきてくれって頼まれちまったー」
――という、能天気な星矢のセリフで、結局、最初から調整し直し。


第一回聖域文化祭準備委員会は、開催日を決めるだけで、なんと1週間もの時を費やしてしまったのである。






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