「う……うむ、では、第一回聖域文化祭は、9月の14日から16日までの3日間開催ということで決定だな。次は開催場所だが──」

開催日決定だけでこんなに議事進行が滞っていて大丈夫なのだろうかという懸念にもめげず、第一回聖域文化祭準備委員会の活動は続く。


「こないだの十二宮戦で何の損壊もないところっつーと、アテナ神殿しかないじゃん」
「沙織さん、貸してくれるかな? 仮にも、神聖な女神の御座所だよ」
「聖域内にこだわる必要はないんじゃないか? 体育祭とは違うんだ。誰かが建物を壊したりすることもあるまい」
「言っただろう。あいつらが、ブンカと体育の違いをわかってるなんて甘い考えは捨てた方がいい。奴等メインの文化祭は、世間から隔離されたところでやる方が賢明だ」

「……沙織さんに、僕たちの連名で要望書でも出してみようか?」
「嘆願書の間違いだろう」
「とにかく、何とかして場所を確保しなくちゃ、話にならないよ」

「よし、星矢。ここはおまえの出番だ。持ち合わせのない色気を掻き集めて、沙織さんに振り撒いてやれ」
「なんだよ、それー。それっくらいなら、瞬の泣き落としの方が効果ありそーじゃんか」
「こんなことで泣き落としなんかできません!」

「瞬が泣いていいのは、俺とむにゃむにゃむにゃ……」
「氷河、ナニ考えてるのっっ !! 」
「おまえと同じことだ」
「こんな大事なこと話し合ってる時に、僕とおんなじこと考えてるなんてっ !! もう少し真面目になってよっ!」

「瞬、おまえこそ、もう少し冷静になれ……」



―― 第一回聖域文化祭準備委員会は、渋るアテナの説得に3日かかった。






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