そういうわけで、第一回聖域文化祭への参加者募集については、結局、聖域の入り口に、文化祭参加者募集の立て看板を出すことになった。


第一回聖域文化祭準備委員会の今度の仕事は、その告知内容をどうするかの話し合いである。
とりあえずの叩き台を作成し、青銅聖闘士たちは、それを眺めながら、あーでもないこーでもないと頭を突き合わせ始めたのだった。

「もっとわかりやすく、すっきりまとめられないかー? あんまり色んなことが書いてあると、俺、ハナっから読む気なくすんだよなー」
「文章は、砕けすぎていても堅すぎてもよくないだろう」
「参加費のことは、書いておかなきゃならないよね」

「参加費なんか、黄金聖闘士たちに払えんのか? 奴等、金持ってんのかよ?」
「沙織さんに寄付をお願いしてみる?」
「いや、ここは、聖闘士だけの力で成し遂げるところに意味がある」
「自腹を切ってもらうとなったら、文化祭の内容をそれだけのものにしなければならないな。後でクレームをつけられて、金を返せと言われるようなイベントにはできん」

「……ゴールドさんたちって、やっぱり、洗練された趣味の持ち主ばっかだよね、きっと? 僕たちが何か用意したって、気に入ってくれるかどうか……」
「奴等に洗練された趣味なんかあるもんか。酒とツマミを目の前に並べときゃ、それで十分だ」
「そういうセリフは、よく考えてから口にした方がいいぞ、氷河。そういう奴の訓育を受けてきたおまえの評価にも関わってくるんだからな」
「弟子は師を越えていくもんだ」
「どーゆー方向に越えてるんだか」

問われるまでもなく、“あっちの方向に”である。
にやりと嫌らしい笑いを口許に刻んだ氷河のその先の言葉を聞きたくなくて、紫龍と星矢は慌てて氷河から視線を逸らした。






【next】