最大の問題は食べ物だった。

「ゴールドの人たちって、普段どんなもの食べてるのかなぁ……。仕出し弁当なんかじゃ、食べれないものもあるかもしれないよね。甘いもの苦手な人も辛いもの苦手な人もいるだろうし……」
「冷蔵庫もないからな。飲み物なんかは事前に買って冷やしておくことはできないぞ」
「食い物が足りなくなったら、当日、俺たちが町まで買出しに出ればいい」
「そうだな。100年前ならともかく、今はどこにでもコンビニがある。老師にお聞きしたのだが、聖域から20キロ圏内に、ローソン、ファミマ、セブンの御三家が揃って出店しているらしい。黄金聖闘士たちも夜中によく買いに出ているそうだぞ」

「なら、なんとかなるかな? でも、コンビニの食べ物だけだと飽きたりしない?」
「瞬、考えすぎるな。2、3日メシが食えなくたって、仮にも聖闘士が死ぬはずはない」
「死にはしないかもしれないが、暴れ出したらどーする」

「あ、その時は、僕がチェーンで縛りつけちゃうから、大丈夫だよv」

「…………」
「…………」
「…………」


氷河と紫龍と星矢は、月も雲間に姿を隠し、花も恥じらいまくるような瞬の笑顔に、少々背筋を凍りつかせた。
だが、おそらく、そういう解決策があるのなら、食べ物でのトラブルは起きることはあるまいと、彼等は、無理に前向きに思考の方向転換を図ったのである。






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